漁業に迫る多くの危機
「くめども尽きぬ」といわれた海の魚。
貴重な食料として多くの人々の命を支え世界中で漁業に携わる人は3千万人を越える。
だが、乱獲や海の環境破壊によって各地の漁業は危機的な状況に追い込まれ、これに地球温暖化が追い討ちをかけることが心配されている。
変わる漁業と海の環境に向き合う各地の人の姿を追った。
引き上げられた定置網の中で、旬を迎えた秋サケやスルメイカに交じり、サワラの銀鱗が躍る。
岩手県大船渡市三陸町の漁業、大内要治さんは「サワラがこれだけまとまって獲れるなんて十年前では考えられなかった」と、高級魚の水揚げに顔をほころばせる。
親潮と黒潮がぶつかり、世界三大漁場の一つに数えられる三陸沖で、漁獲する魚種に変化が表れている。
暖水を好み、西日本を主漁場とするサワラが、岩手県内でまとまって水揚げされるようになったのは2000年で27トン。
2007年には485トンにまで急増し、青森、宮城両県でも同様の傾向を示している。
太平洋での水揚げ急増の要因について、岩手県水産技術センターの後藤友明主任専門研究員は「海水温上昇などによる日本海の海況変動で回遊経路が北にシフトし、秋に津軽海峡を抜けてくるサワラが急増したため」と説明する。
漁獲の変化はサワラだけではない。
同センターの調査では最近10年間、岩手県沖ではスケトウダラなど年ごとに豊漁と不漁を繰り返す魚種が目立つようになった。
後藤研究員は「漁獲の不安定さは、海水温の不安定さと連動する」と分析する。
ここ数年、暖水と冷水の勢力分布の変化が激しい。
水温も短期間に上下し、変動幅が大きくなっているという。
北里大学海洋生命科学部(大船渡市)の朝日田卓・準教授も「温暖化との関係は明らかではない」と慎重だが「地球全体のエアコンが故障しているという印象だ。
この状況が続けば漁業に影響を及ぼす可能性もある」と漁場の異変を注視している。
以上。
以下、共同通信社「海運水産ニュース」より
次回は「カツオ漁」を取り上げる予定です。